Top Interview

トップインタビュー

サイエストが掲げる「価値ある経験知をボーダレスに循環させ、全ての企業と個人のグローバル化を支援する」という使命。この使命はどんな「想い」から生まれたのか、これからの日本企業において、なぜこの使命の実現が重要なのか。さらにはその先にあるサイエストの目指すものとは。

「人の力を信じている」と語る、弊社CO-FOUNDER & CEO 北村 嘉章に、サイエスト誕生までと、これからの未来について聞きました。

北村 嘉章

写真右:代表取締役 北村 嘉章

人口減少・高齢化。
国内市場が縮小する未来を見据え「海外進出支援」に着手

― サイエストを創業する前の経歴を教えてください。

最初はリクルートの人材部門で人材採用支援を担当していました。その後、企業間の電子商取引をサポートするマッチングサイトからスタートし、急成長を遂げた中国企業であるアリババで日本企業の海外ビジネス・越境EC支援を担当しました。さらに外資系大手エネルギー会社の日本法人代表を務め、2011年にサイエストを創業しました。

― アリババは中国のEコマース・情報通信技術を中心としたIT企業です。人材支援とはだいぶ向きが違うと思うのですが、なぜアリババに入社したのでしょうか?

僕はリクルートでの仕事を通して、人材採用支援に関してはやりきった感があったんですね。

キャリアの岐路に立った時、日本経済の成長について調べると人口が減り高齢化を迎え、国内ビジネスがシュリンクしていく未来がありありと見えた。となるとターゲットに据えるべきなのは海外です。

自分がグローバル人材になるか、企業のグローバル化を助けるかの2つの選択肢が残った。日本企業の海外進出の支援は、国籍や国の壁を意識せずに育ってきた僕自身のバックグラウンドもあり、昔から取り組みたいテーマでした。

そこで大手企業だけでなく中小企業の海外進出の構築にも携わりたいと思い、アリババを選びました。

― アリババで学んだことや経験から、その後の起業につながったことはありますか?

当時、海外進出の一番の課題は販路開拓でした。

アリババは海外のバイヤーを紹介し、オンラインでマッチングしていきます。ところが蓋をあけてみると「アリババに載せた、バイヤーとも出会った。でもビジネスにつなげていくリソースやノウハウが足りないから結果に結びつかない」という日本企業のケースが非常に多かったのです。

その中で成長している日本の中小企業があり、非常に興味を持ちました。秘訣を探ってみると、丸紅の元OBに顧問として社内に入ってもらい、アリババだけではなく、その方の人脈を使いながら海外事業を大きく開拓し、成長させていました。

この方は無償で仕事を請け負っており、「定年退職して暇だったし、海外経験が長かったから、僕の知見やネットワークを使って事業が成長したり、社会貢献したりできることがインセンティブです」とおっしゃった。

この言葉に僕は衝撃を受けました。

― 具体的に、どのような衝撃を受けたのでしょう?

人材採用の支援で見てきたのは、仕事に対して条件や環境のベネフィットを期待している人たちです。一方で、自分の価値を活かすことを仕事へのモチベーションとして持っている人が、その力で事業を大きく成長させていることに衝撃を受けました。

それと年齢的なことも強く印象に残りました。

― 大企業の元OBということは、要するに定年後の方ですよね。

そうです。そもそも、人材業界では一般的に50歳以上だとなかなか声がかかりません。年収は高く癖が強い、と思われている。でも、経験もありモチベーションもある60歳の方は実は即戦力の人材ではないか、と、とてもリアルに感じました。

顧問とのミーティングの様子

顧問とのミーティングの様子

プロフェッショナル人材を集めた「グローバル顧問」の誕生

― では具体的にサイエスト起業へつながった道筋を教えてください。

背景には少子高齢化という日本全体の社会課題もありました。日本の人口は減少していますが、シニア人口は増えています。優秀なシニア人材の活用は今後の日本企業に欠かせないと感じました。

知見や経験豊富な方々が60歳の区切りをもって社会との接点が遠くなってしまう。しかも「ゴルフをしているだけ」退屈だ、暇だとおっしゃる。もったいないと思いました。

ゴルフ

アリババではせっかく良いバイヤーと出会ってもどうビジネスにつなげていくかノウハウが足りずに海外事業への展開がうまくいっていない企業も見てきました。だったら、ここをつなげればいい。それを仕組み化したのが「グローバル顧問」です。

「グローバル顧問」の支援で、海外収益が本業を超えた地方企業の例も

― サイエスト創業当時の支援先は、東京の企業が中心だったそうですね。現在は地方企業も多くグローバル顧問を活用していらっしゃいます。この変化は意図的なものでしたか?

日本の経済を支えているのは中小企業です。ところが大手企業と中小企業ではギャップがある。

さらに言えば、同じ中小企業でも都市部と地方ではギャップがあります。たとえば情報リテラシーのギャップ、そして地方の会社ほど海外進出のための環境が整っていません。しかも中小企業というのは、地方に圧倒的に多い。地方創生というか、その文脈が課題として僕の中にありました。

― たとえば地方の企業で、北村さんが実際に顧問の提案に関わった中で印象に残っている案件はありますか?

以前、九州地方の従業員20名くらいの中古車を扱う会社に大手商社のOBをグローバル顧問としてご提案したことがあります。海外進出は初めてだったのですが、顧問の力を借りて3ヶ月でバングラデシュやミャンマーに進出し、1年もたたないうちに海外収益が本業を越えるほどに成長しました。

顧問を起点とした事業開発ができるのだと会社側も気づき、たびたび「こういう顧問はいないかな」と相談を受け、9人の顧問が事業をサポートしました。グローバル顧問を活用し、企業を成長させていく過程をつぶさに見ながら、僕もさまざまに学ばせていただきました。

― では、グローバル顧問の方で印象的な人はいらっしゃいますか?

そうですね。ひとりと言うのは難しいけれど……半導体メーカーで海外事業トップを務められた方でしょうか。中堅の食品メーカーさんが海外事業を進める際に、その方の事業立ち上げの経験を活かして海外展開を全面的に支援してもらいました。

実はこの顧問は、それだけのキャリアがありながら定年後にハローワークで仕事を探しても知見を活かす場がなく、マンションの管理人をしていたのです。年齢だけのせいで、いわゆるシニア向けの仕事しか紹介してもらえない、でも家にずっといるのも退屈だから……と。そういう方は本当に多いんですよ。

シニアマッチングからスキルマッチングへ。
10年を経て見られる「働き方」の変化

― 10年で市場環境も変わってきました。顧問側の応募状況や企業側が顧問に求めることなどにおいて変化は感じますか?

最近は40代、50代の登録が増えています。というよりも、年齢は関係なくなってきていて、専門性を研ぎ澄ませてやってきたプロフェッショナルな人の市場価値が高いと感じています。シニアマッチングから、スキルマッチになりつつあると言えるかもしれません。会社に属さず、プロフェッショナルなフリーランスの方も多いですね。

コワーキングスペース

一方で企業側ですが、特に首都圏のベンチャー企業や大手企業ではフリーランスや複業人材の活用が進んでいます。ただ地方および中小企業では、フリーランスや複業の方にどうかかわってもらうといいのか、理解が不足していることも多いですね。プロフェッショナルなフリーランスや複業人材を活用して事業を成長させている企業は多くあり、働き方自体もどんどん変わっていますので、地方や中小企業の方にも、プロフェッショナル人材活用の意義をより知ってもらえるよう、サイエストとしても情報発信を進めていきたいと思います。

「人が事業を作る」。
日本企業が抱える課題を「人の力」で解決していく

― 日本の企業、中小企業に対する思いとか、エールを送りたいことはありますか?

僕は「人が事業を作る」と思っています。

事業では「いつ、誰と、どう行うか」が軸になります。僕は中でも誰とやるかがとても重要だと考えています。「誰と」が見つかった時点で、企業にとっての「いつやるか」の「いつ」が決まると思うんですね。

― タイミングや事業システムも重要ですが、結局は人材が大切である、ということですね。

海外事業でも新規事業でも、誰と、どういうチームで行うかがポイントです。人を大切にし、人の力を信じ、人を活用する能力を持つことを、もっともっと重視して欲しいと思います。

人こそが企業の財産ですから。

― 企業と人の出会いがポイントになる。本当に北村さんは人の力を信じているのですね。

そうです。海外事業というテーマで出会った顧問と、この人と一緒なら違う広がりを見つけられるかもしれないと国内の新規事業がスタートする可能性もある。人との出会いを僕はポジティブに考えています。

― 北村さん自身が仕事をする上で大切にしていることは何でしょうか?

僕自身も誰とやるかを重要視しています。僕の能力は限られている。誰と一緒にやるか、いかに強いチームを作れるか。共通価値を持って、共通認識をもって一緒に働けるのであればこれほど面白いことはありません。

― 最後に、今後やっていきたいことや展望について教えて下さい。

会社としては、多くのプロフェッショナル人材を抱える「グローバル顧問」の稼働をもっと増やしていくことですね。

少子高齢化、地方経済の衰退、パンデミックによる海外事業の停滞、そもそも国際的な競争ができる力を持つ企業が少ないこと、日本企業にとってこれからさらに深刻化していく課題はたくさんありますが、そのひとつずつをサイエストが、「人の力」によって解決していければと思っています。

さらに長く続いたパンデミックの影響を受け、すでに海外進出をしている企業も想定外の問題に直面しています。すでにオペレーションコストもかかっているが売上があがらない例も多く聞きます。こうした企業のお手伝いにも力を入れていきます。

そして「海外に出るならまずはサイエスト」と言われる存在になれるよう、今後もさまざまなことに挑戦していきます。

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